NTT株を空売りして大儲けした江副浩正の錬金術
NTT株を空売りして

大儲けした江副浩正の錬金術


ならず者の太鼓持ち田原の空論は無視してよし

 田原総一朗が江副浩正を擁護して著した『正義の罠』のリクルート事件は今、改めて振り返ってみても空前絶後の贈収賄事件だった。
 連日報道紙面を賑わせている防衛疑惑。その核心は二つだ。沖縄駐留海兵隊の三兆円に達するグアム移転費用問題に絡む沖縄疑惑と、その導入には六兆円もの費用がかかるMD問題である。
 だが、現実の事件についてのの疑惑は、守屋武昌前防衛事務次官らに対するゴルフなどの過剰接待であり、贈収賄金額や疑惑に登場する政治家・官僚の数でも、リクルート事件の比ではないほど少なく、小さい。にも拘らず、田原総一朗はその史上最大の疑惑事件だったリクルート事件を『正義の罠』では「国策捜査」と決めつけ、江副浩正を擁護して「冤罪だ」と唱えている。
 最近、北朝鮮を訪問した田原総一朗は、現地で金正日総書記の外交を絶賛し、間接的に日米両国政府の対北外交を批判したらしいが、米国を批判するなら別の観点がある。
 現在、世界経済を大混乱に陥れている米国でのサブプライムローン問題における米国金融機関の損害は国際通貨基金の試算では。約二千億ドル(=約二十二兆円)規模でさほど大きくない。
 だが、この問題の核心は、米英の金融機関が世界中で売りまくった金融工学を駆使して金を膨らませただけの金融派生商品(デリバティブ商品)が、一千兆円の六十倍に達する「六京円」(『文芸春秋』藤原政彦教授)という、アングロサクソンによる「金融植民地主義」そのものが国際批判の対象とされるべきなのだ。どうも田原総一朗の正義感はいつもピントがずれている。
 それはともかく、そのアングロサクソンによる金融植民地主義の食い物にされているのが、日本だ。

江副の警視庁捜査は「国策」に遮られたのだ!

 さて、肝心のリクルート事件だ。警視庁捜査四課によるこの事件の捜査が政界トップの鶴の一声という「国策」で捜査打ち切りとなった後、一年がかりで水面下の情報収集を続けていた東京地検特捜部は、警視庁捜査が「国策」によって打ち切りとなった事実を踏まえ、それを跳ね除けてこれを事件化する為に知恵を絞ったのだろう。
 大手新聞の記者にはトップニュースを同業他社に抜かれまいとする競争心理が強烈だ。当時「東京地検特捜部が何か大掛かりな事件を捜査しているらしい」という話が流れていた。それを見越したかのように『朝日新聞』が川崎市助役がリクルート社の未公開株の贈与を受けたと報じた。この一報に検察庁詰めの新聞記者は狂乱し、報道各誌が一斉に競争取材に走った。
 当時、検察庁詰めの記者によると、このリクルート事件の捜査に当って検察幹部が困った問題が二つあったとされている。一つはリクルート社をスポンサーとした大手新聞系列のテレビ局が関与していた問題と、政界絡みのNTT問題だったとされている。
 昭和五十七年十一月二十七日に第一次中曽根内閣が発足した。中曽根内閣の政策的目玉は行革だ。だが、実際は電電公社の民営化で日本のハイテク力を殺ぐ米国の対日戦略に沿うための行革だった。

体のいい米国破綻肩代わりのプラザ合意だった

 この時期、レーガン時代の米国は財政破綻の寸前だった。その危機を回避するため、レーガン政権は日本の国富に肩代わりさせようと目論み、竹下登蔵相をニューヨークに呼び付けて「プラザ合意」を成立させた。
 当時、米銀が中南米諸国に貸し付けコゲついていた巨額損失を邦銀(約一〇〇〇億円)に肩代わりさせるとともに、ドル安=円高政策を飲ませている。
 事実、その後、為替相場は超円高になった。このため企業業績は悪化し、株価は暴落した。所謂「円高不況」の始まりだった。
 その日本の経済危機をどう救うのかで、編み出された経済テクニックが「バブル経済」である。この日本人が開発した「バブル経済」はこの頃、適切な表現が見当たらず「花見酒経済」(『東洋経済』昭和六十年三月十六日号、林健二郎・野村證券経済調査部長)と呼ばれていた。
 貿易で得た巨額の実体経済資金を土地、株などの投機に振り向け、貨幣経済資金として膨らませて経済を活性化させるそれまで世界の経済学には一切なかった経済テクニックを開発したのだ。
 有り余ったカネは先ず株式投資に集約された。その先駆は野村證券の主導で仕手筋・武富士が買い捲って大暴騰した石川島播磨工業(IHI)だ。以後、東証の株価は東京電力、東京ガスが急騰し、川崎製鉄、新日鉄などと共に、銀行株が急騰した。その膨らんだカネが土地買いに流れ、全国の地価が大暴騰。バブル経済が開花した。

NTT株暴騰に一役買った江副のスパコン購入

 その先駆けだった大型株の上昇は民営化され、株式が公開される超大型株のNTT株を大暴騰させる事を狙った竹下登蔵相の株価誘導策だ。
 昭和六十年四月一日に民営化されたNTTは、六十二年二月九日に東証に上場された。一株の額面五万円だったNTTの売り出し価格は百十九万七〇〇〇円だった。
 この時期、中曽根政権はレーガン政権の強要で米国製品の輸入を国策化しており、手始めにクレイ社のスパコン(=スーパーコンピュータ)導入が政府部内で検討された。その結果、昭和六十一年四月「NTT常務会で、リクルート社への転売を前提にクレイ社のスパコン購入が決定」(『正義の罠』P・265)されている。
 前号で触れたように、儲かることなら手段を選ばずにミシンのリッカー株を空売りし、倒産させてまで金儲けに走る金権亡者の江副浩正が、そもそも軍用に開発されたクレイ社のスパコンを何故、買う必要があったのか。それもNTTを通してだ。江副浩正は実に不自然な決断をしている。
 そのNTTの株価は売り出し直後から急騰、瞬く間に三一八万円まで大暴騰し、この株の売り出し公募に応じた主婦達を大儲けさせ「NTT株神話」が生れる元になった。


暴騰の上限→貸借銘柄に変更→空売りで大儲け

「リクルート事件」の捜査に当った東京地検特捜部が捜査に関して、最も関心を示したのが中曽根康弘政権を挟んだNTTとリクルート社・江副浩正との水面下の関わりだったといわれる。
 それも巷間伝えられているNTTの回線リセール事業絡みではなく、NTT株急騰のからくりだったとされている。「江副傘下のリクルート・グループが仕手筋として動いたため、NTT株は急騰したのだ」(テレビ局社会部I記者)
 だが、仕手株化したNTT株を高値で売り抜けようとしても、それを大量買いする代わりの仕手筋が存在しない限り、仕手株は高値で売り抜けられない。通常ならNTT株の仕手筋だったリクルート社と江副浩正も沈没した筈だ。だが、両者とも沈没しなかった。
 NTTの株価が三百万円を超えたところで、大手証券各社がNTT株は一千万円まで上がると、株式投資への新規参入組の主婦達に買わせた為、リクルート・グループが高値でNTT株を売り抜けられたからではない。
 東証はNTT株が三百万円を超えたところで、NTT株を貸借銘柄に指定した。貸借銘柄なら空売りが出来る。「NTT株を大暴騰させた連中を儲けさせるため、空売り可能な銘柄に指定したのです」(前述I記者)と言われる。
 リクルート事件を捜査していた東京地検特捜部は、空売りでNTT株が暴落したため、多数の主婦達を泣かせたこの問題の摘発を検討していた。だが、結局、この問題は事件化しなかった。リクルート事件ばかりだと、他の事件の摘発が出来ないとの問題の他、ここでは国策による捜査打ち切りが動いた。

江副は国策に潰されたのではなく守られたのだ

 ロッキード事件を摘発した当時の検察幹部はみな「勅任者」だ。だから「天皇陛下と天皇陛下を支える国民を裏切れない」(神谷尚男元検事総長や高瀬礼二元検事総長の弁)という強烈な気概があった。この思想検事の頂点にいたのが「英霊にこたえる会」会長だった井本台吉元検事総長だ。この時代の検察幹部を支えた思想である「国体論」の根幹だ。
 その強固な検察思想がその後、質変したとされる。国家の思想性や政治・経済犯罪の重さを顧慮せず、政治家の動向に配慮した「経済国策」を最優先させる捜査方式に質変した。その契機になったヤクルト上場問題だ。「ヤクルト幹部逮捕説」(『噂の真相』昭和五十七年二月号)まで出たが、証券市場を守るためとして捜査は打ち切られ、事件にならなかった。
 リクルート事件がNTTの株価操縦問題に操作が及ばなかった理由は、そのヤクルト問題が尾を引いて検察が萎縮したためだ。この江副が裏で絡むNTT株価暴騰のからくりが事件化したら、証券市場が成り立たなくなるとの危惧に配慮した結果とも言われている。国策を撥ね退けてリクルート事件を摘発した東京地検特捜部だったが、結末は「国策による捜査打ち切り」で終わり、江副浩正は救われた。
 リクルート事件の江副浩正を擁護した田原総一朗の『正義の罠』は、その「国策捜査」という点で、本末が転倒している欺瞞本だ。
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