日本通運(転貸)倉庫−アスベスト剥離
未検査・未登記で数十年営業

 日本通運株式会社(以下「日通」)の転貸倉庫で、天井部分に吹きつけられたアスベストが数箇所にわたって剥離(はくり)していることが、本紙の調べで分かった。
 この倉庫は江戸川区春江町5丁目11番2所在で、所有者は近所に在住するK氏。三十年ほど前から日通に賃貸しているが、ここ十年程は日通から『株式会社折原』(以下「折原」・台東区浅草橋1丁目12番7号)に転貸されている。同社は『荷造材料の販売』を業務とする会社だ。
 さてこの倉庫、江戸川区の建築確認が下りたのが昭和48年8月。吹付けアスベストの使用が禁止されたのが昭和50年であるから、建設当時は吹付けアスベストは禁止されていなかった、と思われる。
 但し、建築確認とは計画や設計の段階での行政によるチェックであり、言うなれば「この計画・図面通りに建てるとすればOK」という意味であって、そのあと実際に図面通りに建てられたか否かは行政の検査を受けなければ分からない。
 また、建築確認を申請した以上、必ず建設しなければならないとか、確認後すぐに建てなければならないという決まりも無い。従って建設後の終了検査を受けない限り、行政側からすれば「どういう建物なのか未確認」の物件であり、それ以前に「実際に建ったかどうかさえ不明」ということになる。
 本題に戻るが、件の倉庫に関しては検査済み証明書が存在しないつまり建設後の検査を受けていない)。
 そればかりか不動産登記もなされていない
 要するに、吹付けアスベストの使用が禁止される以前と以降、どちらの時点で建てられたのか不明であり、様々な基準を満たしているか否かも江戸川区としては未確認であり、法務省(登記所)の立場からいえば「書類上存在しない建物」ということになる。

「剥がれている認識ない」
日本通運株式会社 総務・労働部


 さて、最も重要な『吹付けアスベストの剥離』についてだが、先ずは左側の写真2枚をご覧頂きたい。倉庫の天井に吹付けられたアスベストが剥がれているのがお分かり頂けると思う。紙幅の都合上、代表的な写真2枚の掲載に止めたが、実際にはこういった剥離箇所が多数見受けられた。
 本来ならばこれに気付いた時点で、所有者Kが何らかの対策を講じるべきであると共に、これを転貸している日通も立場上知らん顔はできないはずだ。無論、これを転借して事業を営んでいる折原も同様である。
 ところがこの三者と会ってみると、意外なことに罪の意識は殆ど感じられない。強いて言うならば、所有者Kの〜悪気があってアスベストを使用したわけではない〜人体に害があると知っていれば使わない〜ある意味では自分も被害者だと思う〜しかし所有者である以上、最終的には借金をしてでも、近隣の皆さんに迷惑をかけないように解体なり建て替えをしなければと思っている〜というコメントに人情を感じたぐらいで、事業者の折原は(剥がれていることを)「知らなかった」と答えるし、日通に至っては居丈高に「剥がれているという認識はない」と答えるものだから、開いた口が塞がらない。

 それにしても何故こんなにも無関心というか、まるで他人事のような態度なのだろうか。
 筆者なりに邪推してみると、恐らく「自分達が倉庫で作業するわけではないから」ではなかろうか。実際に倉庫内で作業に従事しているのは、折原と契約を結んで荷造材料を運んでいる各運送会社のトラック・ドライバー達であり、当然ながら彼らは、折原や日通の社員でもなければペリカン便ドライバーでもない。極端な言い方になるが、折原や日通にしてみれば「関係ない」といった意識が、どこかにあるのではないだろうか。
 また各運送会社にしてみれば、不景気に加え排ガス規制の影響もあって非常に苦しい立場に立たされており、仕事を選り好みできる状態ではなかろう。況してや、その運送会社に勤務する一社員(ドライバー)が、「あそこの倉庫は天井が吹付けアスベストだから仕事したくない」などと、社長に言えるはずが無い。
 つまり、推測の域を出ないが、現場サイドとしては折原に対して強く言い難いということもあって、彼らは他人事のように振舞うのではないか。
 と言うと、何やら折原だけが悪いみたいだが、そういうことでもない。折原だって、言いたいことを日通に言い、やりたいことを思い通りにできる立場ではないだろう。
 確かにこの倉庫に関して言えば、事業者は折原である。しかし、その仕事の中身=「運んでいる荷物」は日通のダンボール等であって、倉庫内には日通のダンボール等の梱包資材が山積みになっている(右写真)。

 折原も本紙に対して〜日通さんが他所の倉庫に移るなら、うちも移らざるを得ない。うちは日通さんの仕事をしていますから〜今まで何度か(諸事情で)移らされたこともあります〜とコメントしている。
 これらを踏まえると、折原にとって日通の仕事は大きな割合を占めている=その日通との関係を大事に守って行きたい、という、一般的な中小企業として極々当たり前の心情を垣間見ることが出来る。もしかすると、日通から倉庫を借りることを前提に仕事の契約を結んでいるかもしれない。
 仮にそうだとすれば、形式的には折原が事業者であっても、実質的には日通が主導的な立場にあると考える方が、それぞれの会社の規模から言っても自然ではないだろうか。

吹付けアスベストの下には
日通の名前入りダンボール


 そもそも日通は、自社所有の物件(倉庫)ではないにしろ、問題の多い物件を他人様に貸しているのであり、しかも天井の吹付けアスベストが剥がれ落ちているその下に置かれている荷物は、自社の名前入りのダンボール等だ。
 更にこの建物は、折原に転貸する以前は日通が長年にわたって集配所として使用してきたのであり、倉庫正面の外壁には今日でも「日本通運」の看板が掲げられているのだから(左写真)、常識的に考えれば『大企業としての社会的責任の欠如、危機管理意識の欠如』といった謗りは免れないはずだ。

 ところが前段でも述べたように、日通は本紙に対し「吹付けアスベストが剥がれているという認識はない」と豪語して憚らないのだ。その本紙との一問一答については次稿に譲るとしよう。
 本稿では締め括りに、昭和63年2月1日付で環境庁(現・環境省)及び厚生省(現・厚生労働省)から各都道府県の担当局長等に宛てられた「建築物内に使用されているアスベストに係る当面の対策について」と題する通知の一部をご紹介してお別れしよう。

 繰り返しておくが、これは今から18年も前の通知(の一部)である。
 「〜アスベストを含有する建材で、アスベスト繊維を遊離する可能性が大きく、当面の対策の第一とすべきものは、経年変化で劣化したり、ひっかくなどにより損傷のある吹付け材であること。これが存在する場合、建築物内のアスベスト繊維の濃度が周辺環境大気中の濃度より高くなっている可能性があり、その際は適切な処置を検討する必要があること。アスベスト繊維の遊離を防止する処置としては、特殊な塗料を塗ること等による封じ込め、シートや板等でおおう囲い込み及び除去の三つの方法があり、状況に応じた適切な方法を選択のうえ工事を行う必要があること〜」
 今さら言うまでもないことだが、この倉庫では未だに何の処置も行われていない。〔つづく〕
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